ピロリ菌の検査と除菌

ピロリ菌の検査と除菌

Helicobacter pylori

「健診でピロリ菌がいるかもしれないと言われた」「家族が胃がんになったので、自分の胃も心配」。ピロリ菌は、胃の中にすみつく細菌で、胃炎や胃がんの大きな原因です。

ピロリ菌は、除菌(お薬で退治すること)ができます。当院では、原則として胃内視鏡(胃カメラ)で胃の状態を確かめたうえで、ピロリ菌の検査と除菌を行っています。

監修:院長 渡辺昌樹(日本消化器病学会 消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医)

  • 消化器内視鏡専門医の
    院長が担当します
  • 鼻から入れる
    細い胃カメラ
  • 除菌のあとも
    胃カメラで見守ります

こんな方はご相談ください

  • 健診や人間ドックで、ピロリ菌の抗体が「陽性」と言われた
  • 慢性胃炎・萎縮性胃炎と言われたことがある
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍になったことがある
  • 家族に、胃がんになった人やピロリ菌がいる人がいる
  • 胃もたれや胃の痛みが続いている
  • ピロリ菌を除菌したが、その後、胃内視鏡(胃カメラ)を受けていない

ピロリ菌が気になる方は、まず一度診察にお越しください。

診察は予約なしで受けられます(胃内視鏡(胃カメラ)は予約制です)

06-6302-5261

ピロリ菌とは

ピロリ菌(正式な名前はヘリコバクター・ピロリ)は、大きさが1000分の4mmほどの、らせんの形をした小さな細菌です。国内で感染している人は約3500万人と推定されています。

主に幼いころに口から入り、胃の粘膜にすみつくと考えられています。[1]

ピロリ菌がいると、胃はこう変わっていきます

  1. ピロリ菌の感染主に幼いころに感染
  2. 慢性胃炎胃の粘膜に炎症が続く
  3. 萎縮性胃炎年齢とともに粘膜が薄くなる
  4. 胃がん萎縮が進むほど危険性が高まる

ピロリ菌がいる人だけに、胃がんが発生しました

日本で、胃の症状などで通院していた1526人を平均7.8年見守った研究があります。ピロリ菌に感染していた1246人のうち36人(2.9%)に胃がんが発生しましたが、感染していなかった280人からは、胃がんは1人も発生しませんでした。[2]

平均7.8年のあいだに胃がんが発生した人の割合

  • ピロリ菌に感染していない人(280人)0%0人(0%)
  • ピロリ菌に感染している人(1246人)2.9%36人(2.9%)
ピロリ菌がいる人の胃がん発生率約3%(36人)感染していない人では0人

胃がんのほとんどは、ピロリ菌に感染して炎症を起こした胃の粘膜から発生します。萎縮性胃炎が進むと、胃がんになる危険性がより高まります。[1]

胃潰瘍・十二指腸潰瘍や、胃の痛み・胸やけなどの胃の不調については、以下のページもご覧ください。

除菌をすると

  • 胃の炎症がおさまる除菌をすると、胃の炎症は少しずつおさまっていきます。
  • 萎縮も改善の傾向萎縮性胃炎も、よくなっていく傾向があります。
  • 胃がんの予防胃がんができるのを抑えられることが分かっています。

除菌すると、新しい胃がんの発生が約3分の1に

早期胃がんを内視鏡で治療した日本の患者さん544人を、ピロリ菌を除菌する人としない人に分けて、3年間見守った研究があります。新しい胃がんが発生したのは、除菌しなかった人では24人、除菌した人では9人でした。

除菌した人では、新しい胃がんの発生が約3分の1に減りました。[3]

早期胃がんの治療後、新しい胃がんが発生した人の割合(3年間)

012301020 (%) (年) 観察期間 胃がん発生率 除菌しなかった人 除菌した人 観察を続けた人数(人) 非除菌250250213167除菌255237196157
除菌すると、新しい胃がんの発生が約1/3(24人 → 9人)

ただし、除菌をしても、胃がんになる危険性はゼロにはなりません。除菌の前に胃炎が進んでいた方ほど、除菌のあとも危険性が残ります。[1]

まず、胃内視鏡(胃カメラ)で胃の状態を確かめます

2013年から、胃内視鏡(胃カメラ)でピロリ菌による胃炎と診断されれば、健康保険で除菌を受けられるようになりました。[1]健康保険でピロリ菌の検査や除菌を受けるには、まず胃内視鏡(胃カメラ)で胃炎などを確かめることが必要です。

半年以内に健診などで胃内視鏡(胃カメラ)を受けている方は、その結果を使えることがあります。結果をお持ちください。

胃内視鏡(胃カメラ)では、ピロリ菌による胃炎があるかどうかだけでなく、胃がんや胃潰瘍などの病気がないかも、同時に確かめることができます。

  1. 胃内視鏡(胃カメラ)胃炎や、ほかの病気がないかを確かめる
  2. ピロリ菌の検査ピロリ菌がいるかを調べる
  3. 除菌治療お薬でピロリ菌を退治する
  4. 除菌の判定ピロリ菌がいなくなったかを確かめる

当院の胃内視鏡(胃カメラ)は、鼻から入れる細い内視鏡です

「オエッ」となる反射が少なく、楽に受けられる検査とされています。検査中も会話ができます。

検査の流れや、検査の前とあとの注意は、経鼻内視鏡のページでご案内しています。

経鼻内視鏡(胃カメラ)のページへ

ピロリ菌の検査

ピロリ菌の検査には、「内視鏡を使う方法」と「内視鏡を使わない方法」があります。どの検査を行うかは、診察のうえで決めます。

内視鏡を使う方法

胃内視鏡(胃カメラ)の検査のときにとった、胃の組織を使って調べます。当院では、培養法を行っています。

  • 培養法とった組織を培養して、ピロリ菌が増えるかどうかを調べます。

このほか、次のような方法があります。

  • 迅速ウレアーゼ試験:ピロリ菌のもつ酵素のはたらきで作られるアンモニアを調べます。
  • 鏡検法:とった組織を染めて、顕微鏡で観察します。
  • 核酸増幅法:遺伝子を調べる検査(PCR)で、ピロリ菌がいるかを調べます。

内視鏡を使わない方法

当院では、尿素呼気試験と便中ピロリ抗原検査の2つを行っています。

  • 尿素呼気試験検査用のお薬を飲む前と後に、袋に息を吹き込んで、吐いた息でピロリ菌がいるかを調べます。
  • 便中ピロリ抗原検査便を少しとって、ピロリ菌がいるかを調べます。

このほか、次のような方法があります。

  • 抗体測定:血液や尿をとって、ピロリ菌に対する抗体があるかを調べます。

より確かな判定のためには、1つだけでなく、いくつかの検査を組み合わせることが大切です。

尿素呼気試験などは、胃酸を抑えるお薬を飲んでいると、正しい結果が出にくくなります。[4]胃酸を抑えるお薬をやめられない方は、便中ピロリ抗原検査で調べます。

飲んでいるお薬は、必ずお申し出ください。

除菌治療の進め方

除菌は、胃酸を抑えるお薬と、2種類の抗菌薬(抗生物質)を組み合わせて飲む治療です。[4]1回目で除菌できなかったときは、抗菌薬の組み合わせを変えて、2回目の除菌を行います。

1回目の除菌(7日間)胃酸を抑えるお薬+2種類の抗菌薬

4週間以上あけます

除菌の判定除菌できたかどうかを検査で調べます

ピロリ菌がいない場合

除菌成功

ピロリ菌がいる場合

2回目の除菌(7日間)2種類の抗菌薬のうち1種類を、1回目とは別のお薬に変えます

4週間以上あけます

除菌の判定除菌できたかどうかを検査で調べます

除菌できたあとも

定期的な胃内視鏡(胃カメラ)胃がんを早く見つけるために、定期的に受けましょう

除菌療法の成功率

現在の除菌療法では、胃酸を抑えるお薬として、胃酸をより強く抑える「ボノプラザン」が使われるようになっています。当院でも、ボノプラザンを使った除菌療法を行っています。

報告によると、ボノプラザンを使った除菌療法の成功率は、1回目で約93%、1回目で除菌できなかった方の2回目で約98%です。[5]

  • 約93% 1回目の除菌ボノプラザンを使った場合。従来の胃酸を抑えるお薬(ランソプラゾール)では約76%でした。
  • 約98% 2回目の除菌1回目で除菌できなかった方が、抗菌薬を変えて2回目を行った場合。

1回目で除菌できなかった場合でも、2回目の除菌療法をきちんと行えば、ほとんどの方が除菌に成功します。お薬は、決められたとおり最後まで飲みきることが大切です。

除菌療法の副作用

除菌療法の主な副作用として、次のようなものが報告されています。いずれも一時的なものと考えられています。[6]

  • 軟便・下痢最も多い副作用で、約10〜30%の方に起こります。1日2〜3回の軟便・下痢であれば、お薬を減らしたりやめたりせず、最後まで飲みきってください。
  • 味覚の異常食べ物の味がおかしい、苦い味や金属のような味がする、といったことが、約5〜15%の方に起こります。
  • 肝臓の検査値の変動肝臓のはたらきを表す検査値(AST・ALT)が変動することがあります。
  • アレルギー反応発疹やかゆみ、じんましんなどが出ることがあります。

2〜5%の方に、ひどい下痢、便に血がまじる、ひどい発疹などの皮膚の異常、アレルギー反応が起こることがあります。発熱や腹痛をともなうひどい下痢、便に血がまじる、ひどい皮膚の異常などがあるときは、お薬を飲むのをやめて、すぐに当院へご相談ください。[6]

除菌のあとも、胃内視鏡(胃カメラ)を

除菌が成功して安心し、胃の検査を受けなくなってしまう方がいることが、問題になっています。除菌が成功したあとも、定期的な胃内視鏡(胃カメラ)が必要です。

特に萎縮性胃炎がある方は、より注意が必要です。早い段階で胃がんが見つかれば、胃がんで亡くなる危険性はとても低くなります。[1]

除菌のあとの胃内視鏡(胃カメラ)も、当院で受けられます

受ける間隔は、胃の状態に合わせてご相談します。

経鼻内視鏡(胃カメラ)のページへ

受診の流れ

  1. 1

    診察 予約なしで受診できます。症状や、健診の結果、飲んでいるお薬をうかがいます。

  2. 2

    胃内視鏡(胃カメラ)の予約 検査の日を決めます。必要な方は血液検査を受けていただきます。

  3. 3

    胃内視鏡(胃カメラ)・ピロリ菌の検査 胃の状態を確かめ、ピロリ菌の検査を行います。

  4. 4

    結果のご説明 ピロリ菌がいたときは、除菌のお薬をお出しします。

  5. 5

    除菌の判定 お薬を飲み終えてから4週間以上あけて、ピロリ菌がいなくなったかを確かめます。

  6. 6

    定期的な胃内視鏡(胃カメラ) 除菌ができたあとも、胃の状態を見守ります。

受診のときの持ち物

  • マイナ保険証または資格確認書
  • お薬手帳
  • 健診・人間ドックの結果(お持ちの方)
  • これまでの胃カメラの結果(お持ちの方)

よくあるご質問

Q健診の血液検査で、ピロリ菌の抗体が「陽性」でした。どうすればいいですか?
A

ピロリ菌の抗体は、現在ピロリ菌に感染している場合だけではなく、過去に感染して今はピロリ菌がいない場合も陽性になります。現在も感染しているかどうかを調べるために、胃内視鏡(胃カメラ)を受けたうえで培養法などで調べるか、後日尿素呼気試験または便中ピロリ抗原検査を行います。
なお検査予定日から半年以内に健診で胃内視鏡(胃カメラ)を受けていれば、胃内視鏡(胃カメラ)を再検せずに尿素呼気試験または便中ピロリ抗原検査でピロリ菌の有無を調べられます。

Q胃内視鏡(胃カメラ)を受けずに、除菌だけできますか?
A

健康保険で除菌を受けるには、胃内視鏡(胃カメラ)で胃炎などを確かめることが必要です。胃がんなどの病気がないかを確かめるためにも、まず胃内視鏡(胃カメラ)をおすすめしています。

Q除菌すれば、もう胃がんにはなりませんか?
A

除菌で胃がんになる危険性は下がりますが、ゼロにはなりません。除菌の前に胃炎が進んでいた方ほど、除菌のあとも危険性が残ります。
除菌が成功したあとも、定期的に胃内視鏡(胃カメラ)を受けてください。[1]

Q胃酸を抑えるお薬を飲んでいます。検査に影響はありますか?
A

検査の方法によっては、胃酸を抑えるお薬を飲んでいると正しい結果が出にくいため、お薬をお休みいただくことがあります。飲んでいるお薬は、必ずお申し出ください。[4]

すぐに受診が必要なサイン

次のようなときは、救急車(119番)を呼ぶか、救急対応のできる病院をすぐに受診してください

  • 血を吐いた
  • 真っ黒な便(タールのような便)が出た
  • 強い腹痛が急に起きて、おさまらない
  • 除菌のお薬を飲んだあとに、息が苦しい、全身にじんましんが出た

一般の診療所である当院では対応が困難です。当院へのご来院やお電話ではなく、ためらわずに救急車を呼んでください。

まとめ

  • ピロリ菌は、胃炎や胃がんの大きな原因になります
  • ボノプラザンを使った除菌療法では、2回目までにほとんどの方が除菌に成功します
  • 除菌で胃がんの危険性は下がりますが、ゼロにはなりません
  • 健康保険で検査・除菌を受けるには、まず胃内視鏡(胃カメラ)が必要です
  • 除菌のあとも、定期的に胃内視鏡(胃カメラ)を受けましょう

ピロリ菌が気になる方、胃内視鏡(胃カメラ)をご希望の方は、お気軽にご相談ください。

診察は予約なしで受けられます(胃内視鏡(胃カメラ)は予約制です)

06-6302-5261

参考文献

  1. 日本消化器内視鏡学会. 消化器内視鏡Q&A「ピロリ菌を除菌しましたが、その後胃カメラ検査を受ける必要がありますか?」(2025年1月27日更新). https://www.jges.net/citizen/faq/esophagus-stomach_06
  2. Uemura N, Okamoto S, Yamamoto S, et al. Helicobacter pylori infection and the development of gastric cancer. N Engl J Med. 2001;345:784-789.
  3. Fukase K, Kato M, Kikuchi S, et al. Effect of eradication of Helicobacter pylori on incidence of metachronous gastric carcinoma after endoscopic resection of early gastric cancer: an open-label, randomised controlled trial. Lancet. 2008;372(9636):392-397.
  4. 日本ヘリコバクター学会. H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2024改訂版. 2024.
  5. Murakami K, Sakurai Y, Shiino M, et al. Vonoprazan, a novel potassium-competitive acid blocker, as a component of first-line and second-line triple therapy for Helicobacter pylori eradication: a phase III, randomised, double-blind study. Gut. 2016;65(9):1439-1446.
  6. 日本ヘリコバクター学会広報委員会 編. ピロリ菌から胃を守れ!! 慢性胃炎・胃がんのもとを断つ(一般向け冊子). https://www.jshr.jp/medical/committee/pr/file/booklet_public.pdf
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