長引く咳

長引く咳

Persistent Cough

「かぜは治ったのに、咳だけが続いている」「夜や明け方になると咳が出る」。咳は、続いている期間によって、考えられる原因が変わります。[1]

日本では、長引く咳の原因として最も多いのは咳喘息・喘息です。[1]3週間以上続く咳は、かぜ以外の原因も考えて受診しましょう。

監修:院長 渡辺昌樹(日本内科学会 総合内科専門医)

  • 予約なしで
    受診できます
  • 胸部X線検査(レントゲン)・
    呼吸機能検査を院内で行います
  • 必要に応じて
    専門の医療機関へご紹介します

こんな方はご相談ください

  • かぜのあと、咳だけが3週間以上続いている
  • 夜や明け方に咳が出て、目が覚める
  • 市販の咳止めを飲んでも、咳が止まらない
  • 階段や坂道で、息が切れるようになった
  • たばこを吸っている、または以前吸っていて、咳や痰が続く
  • 胸やけがあり、咳も続いている

一つでも当てはまる方は、お気軽にご相談ください。

予約なしで受診できます

06-6302-5261

咳が続く期間と原因

咳は、続いている期間によって3つに分けられます。[1]

  1. 急性の咳3週間未満
    かぜなどの感染症が多い
  2. 長引く咳(遷延性)3週間以上8週間未満
    感染症以外の原因が増える
  3. 長引く咳(慢性)8週間以上
    感染症以外の原因が多い

3週間未満の咳は、多くの報告で、かぜなどのウイルスによる感染症が57〜91%を占めています。[1]

咳が長引くほど、咳喘息・喘息など、感染症以外の原因が多くなります。[1]

3週間未満の咳のうち
感染症によるもの
57〜91%

長引く咳の主な原因と治療

長引く咳は、原因を考えながら、その病気に合ったお薬を試し、咳がよくなるかどうかで診断を進めます。[1]

考えられる原因試す治療(目安の期間)
咳喘息・喘息吸入ステロイド薬と、気管支を広げるお薬を合わせた吸入薬(2週間)
アトピー咳嗽・喉頭アレルギー抗ヒスタミン薬(2週間)
胃食道逆流症胃酸を抑えるお薬(4〜8週間)
かぜのあとの咳咳を和らげるお薬(2週間)
副鼻腔気管支症候群(痰がからむ咳)マクロライド系の抗菌薬(8週間)

喘息の特徴がない長引く咳には、吸入ステロイド薬を使わないことが勧められています。[1]

お薬で咳がよくならないときは、ほかの原因を考えます。[1]胸部CTや耳鼻咽喉科での検査などが必要なときは、専門の医療機関をご紹介します。

治療しても続く咳

原因に合わせた治療をしても続く咳には、咳を起こす神経が敏感になっていることが関わると考えられています。[2]

2025年のガイドライン改訂では、このような咳に使う新しい飲み薬(P2X3受容体拮抗薬)が取り上げられました。[2]必要なときは、専門の医療機関をご紹介します。

胸やけなど、胃の症状がある方は、以下のページもご覧ください。

咳喘息・喘息

喘息は、空気の通り道(気道)に炎症が続き、さまざまな刺激に敏感になって、発作的に気道が狭くなることをくり返す病気です。[3]日本では大人の9〜10%が喘息とされ、高い年齢になってから発症する方もいます。[3]

咳喘息は、喘息の1つの型です。[4]ゼーゼー・ヒューヒューという音(喘鳴)や息苦しさがなく、咳だけが続くのが特徴です。[4]

日本では、長引く咳の原因の半数以上を咳喘息が占め、最も多いとされています。[4]

2025年のガイドライン改訂では、咳喘息と、咳が目立つ喘息は共通点が多く、治療も基本的に同じことから、まとめて「喘息性咳嗽」と呼ぶことになりました。[2]ただし、咳だけが続く喘息があることを知っていただくため、「咳喘息」という名前も残されています。[2]

咳喘息と喘息の違い

咳喘息と喘息の違い
咳喘息喘息
症状:ゼーゼー・ヒューヒューや息苦しさがなく、咳だけが続く症状:咳・痰に、ゼーゼー・ヒューヒューという音や息苦しさを伴う
治療:吸入ステロイド薬と気管支を広げるお薬を合わせた吸入薬が基本(喘息と同じ)治療:吸入ステロイド薬と気管支を広げるお薬を合わせた吸入薬が基本
その後:治療が不十分だと、大人の30〜40%が喘息に移行するその後:炎症が続くと、気道が固く狭くなり、元に戻らなくなる

表は、日本呼吸器学会の一般の方向けの解説、咳喘息の解説論文、2025年のガイドライン改訂の解説をもとにまとめました。[3][4][2]

咳喘息の特徴

  • 夜から明け方にひどくなる寝るとき・夜中・明け方に咳がひどくなりやすく、昼間だけ出ることもあります。
  • 痰はほとんど出ない痰は出ないか、出ても少しで、黄色や緑色の痰ではありません。
  • 季節や日によって変わる季節によって症状が出たり、日によって強さが変わったりします。

大人では、女性に多いとされています。[4]次のようなことが、咳を悪化させるきっかけになります。[4]

  • 咳が悪化するきっかけ
    • かぜ
    • 冷たい空気
    • 運動
    • たばこ(受動喫煙を含む)
    • 雨の日
    • 湿気
    • 花粉
    • 黄砂
    など

咳喘息の診断

次の2つをどちらも満たすと、咳喘息と診断します。[4]

  • ゼーゼー・ヒューヒューを伴わない咳が8週間以上続き、聴診でもゼーゼーという音が聞こえない(3〜8週間でも診断できることがあります)
  • 気管支を広げるお薬で、咳がよくなる

呼吸機能検査では、ほぼ正常のことが多い病気です。[4]細い気管支で空気の流れが落ちていれば、診断の参考になります。[4]

喘息への移行

治療が不十分な場合、大人では30〜40%が喘息に移行するとされています。[4]吸入ステロイド薬で治療すると、移行する割合が下がることが分かっています。[4]

治療が不十分なとき
喘息に移行する割合(大人)
30〜40%

咳喘息・喘息の治療

症状がなくても、気道の炎症は続いています。[3]治療の目標は、症状や発作がなく、肺の働きを正常に保つことです。[5]

  • 2つを合わせた吸入薬から炎症を抑える吸入ステロイド薬と、気管支を広げるお薬を合わせた吸入薬で、治療を始めます。
  • 症状に合わせて調整症状の頻度や夜の症状などから重さを判断し、お薬を段階的に調整します。
  • よい状態が続いたら喘息では、よい状態が3〜6か月以上続けば、お薬を減らすことを考えます。

咳喘息も喘息と同じ吸入薬で治療を始めます。[2]症状が落ち着いたらお薬を減らしながら、長く治療を続けます。[4]

吸入ステロイド薬が使いにくい方には、飲み薬(ロイコトリエン受容体拮抗薬)を使うこともあります。[4]

咳がよくなっても、治療をやめると、再び悪くなることがよくあります。[4]1年以上治療してお薬を少ない量まで減らせ、症状がなければ、やめることを考えます。[4]

発作が起きたときは、すぐに効く気管支拡張薬を吸入します。[3]吸入薬は、症状がなくても自己判断でやめないでください。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)

COPDは、主にたばこの煙を長い間吸うことで起こる肺の病気です。たばこを吸う方の20%前後がかかるとされています。[6]

日本でCOPDにかかっている方は500万人を超えると見積もられていますが、治療を受けている方は数十万人です。[6]

気づかないまま、たばこを吸い続けて重くなる方が多い病気です。[6]

日本のCOPDの
推定患者数
500万人以上

COPDを疑う特徴

  • たばこを吸っている、または吸っていた(特に40歳以上)
  • 咳や痰、ぜーぜーする呼吸(喘鳴)が続く
  • 階段や坂道で息が切れる
  • かぜをくり返す、またはかぜが治りにくい
  • 高血圧・糖尿病・脂質異常症・骨粗しょう症などがある

初めは症状がないか、咳や痰だけのことが多く、少しずつ動いたときの息切れが目立ってきます。[6]診断には、呼吸機能検査で、息を吐き出す力が落ちていないかを調べます。[6]

COPDの治療

  • 禁煙禁煙は、COPDの進行を遅らせます。
  • 気管支を広げる吸入薬長く効く気管支拡張薬の吸入が、お薬の治療の中心です。
  • 感染を防ぐ手洗いやワクチンで、感染による悪化を防ぎます。

増悪をくり返す方や、喘息を合併している方には、炎症を抑える吸入ステロイド薬を加えた、3種類を合わせた吸入薬を使うこともあります。[7]

COPDの方は、かぜやインフルエンザなどの感染をきっかけに悪くなることがあります。[6]ワクチンについては、以下のページもご覧ください。

詳しい検査が必要なサイン

咳に次のような様子があるときは、重い病気が隠れていないか、詳しく調べる必要があります。[1]

  • 痰に血が混じる
  • 45歳以上でたばこを吸っている方で、咳が新しく出た、または悪くなり、声がかれている
  • 55〜80歳で、たばこを長く多く吸ってきた(禁煙して15年以内の方も含む)
  • 夜間や安静にしているときに、はっきりとした息苦しさがある
  • ぜーぜーする呼吸(喘鳴)が強い
  • 熱、体重が減る、むくみなど、全身の症状がある
  • 食べたり飲んだりするとむせる、激しく吐く
  • 肺炎をくり返している

当院では、まず胸部X線検査などで調べます。[1]胸部CTなどの詳しい検査が必要なときは、専門の医療機関をご紹介します。

当院で行う検査

  • 胸部X線検査(レントゲン)咳の診療では欠かせない検査です。肺炎や肺の影がないかを確かめます。
  • 呼吸機能検査息を思い切り吐き出して、肺の働きを調べます。COPDや喘息の診断に役立ちます。

検査について詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。

受診の流れ

  1. 1

    受付・問診票の記入 咳が続いている期間、痰や熱の有無、たばこ、持病やお薬などをご記入ください。

  2. 2

    診察 胸の音を聴き、のどや全身の様子を確かめます。

  3. 3

    検査 必要に応じて、胸部X線検査や呼吸機能検査を行います。

  4. 4

    治療 考えられる原因に合わせてお薬を始め、咳がよくなるかを確かめます。

  5. 5

    再診 お薬の効き方を確かめ、よくならないときは、ほかの原因を考えるか、専門の医療機関をご紹介します。

受診のときの持ち物

  • マイナ保険証または資格確認書
  • お薬手帳
  • 健康診断の結果(胸部X線検査の結果を含む)
  • 使っている吸入薬・市販の咳止め(あれば)

よくあるご質問

Q咳が何週間続いたら、受診したほうがよいですか?
A

3週間以上続く咳は、かぜ以外の原因も考えられます。
早めにご相談ください。血の混じった痰や、夜も眠れないほどの息苦しさがあるときは、期間にかかわらず受診してください。

Q市販の咳止めを飲んでも、咳が止まりません。
A

長引く咳は、原因によって効くお薬が違います。
咳喘息には吸入ステロイド薬と気管支を広げるお薬を合わせた吸入薬、胃食道逆流症には胃酸を抑えるお薬というように、原因に合わせた治療が必要です。

Q呼吸機能検査とは、どんな検査ですか?
A

筒をくわえて、息を思い切り吸ってから一気に吐き出し、肺の働きを調べる検査です。
COPDや喘息の診断に役立ちます。痛みはありません。

Qたばこをやめれば、COPDは治りますか?
A

たばこで壊れた肺は、元に戻すことはできません。
ただし、禁煙はCOPDの進行を遅らせます。何歳からでも、禁煙する意味があります。

Q吸入薬は、咳が止まったらやめてもいいですか?
A

喘息の吸入薬は、症状がない状態を保つためのお薬です。
よい状態が3〜6か月以上続けば、お薬を減らすことを考えます。自己判断でやめずに、ご相談ください。

すぐに受診が必要なサイン

次のようなときは、救急車(119番)を呼ぶか、救急対応のできる病院をすぐに受診してください

  • 息が苦しくて横になれない、話すのがつらい
  • 発作のときの吸入薬を、1〜2時間おきに使わないといけない
  • 息苦しさが、どんどん悪くなっていく
  • 唇や顔色が紫色になっている
  • 咳とともに、血そのものが出た(喀血)

一般の診療所である当院では対応が困難です。当院へのご来院やお電話ではなく、ためらわずに救急車を呼んでください。

まとめ

  • 3週間以上続く咳は、かぜ以外の原因も考えられます
  • 長引く咳の原因で最も多いのは、咳喘息・喘息です
  • 原因に合ったお薬を試しながら、診断を進めます
  • たばこを吸う方の咳・痰・息切れは、COPDの可能性があります
  • 痰に血が混じる、息苦しさが強いときは、早めに受診してください

咳が長引いている方は、お気軽にご相談ください。

予約なしで受診できます

06-6302-5261

参考文献

  1. 水村賢司, 權寧博. 『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン 第2版 2025』の解説. 日本大学医学雑誌. 2026; 85(2): 59–64.
  2. ケアネット. 咳嗽・喀痰の診療GL改訂、新規治療薬の位置付けは?/日本呼吸器学会. 2025. https://www.carenet.com/news/general/carenet/60697
  3. 日本呼吸器学会. 呼吸器の病気 C-01 気管支ぜんそく(2025年9月). https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/c/c-01.html
  4. 斎藤純平. 咳喘息. 日本内科学会雑誌. 2020; 109(10): 2116–2123.
  5. 岐阜県喘息・アレルギー系疾患対策事業連絡協議会. 喘息ガイドライン -成人-(岐阜県版)(日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン2024」の要点). 2025.
  6. 日本呼吸器学会 COPDガイドライン第6版作成委員会(編). COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン 第6版. 日本呼吸器学会. 2022.
  7. 日本呼吸器学会 COPDガイドライン第7版作成委員会(編). COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2026〔第7版〕. メディカルレビュー社. 2026.(第7版の治療の流れによる)
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