脂肪肝・肝機能の異常

脂肪肝・肝機能の異常

Fatty Liver Disease

脂肪肝は、肝臓に脂肪がたまりすぎた状態です。日本では大人の約4人に1人(約25%)にみられ、男性では約4割、女性では約2割と、年々増えています。[3]

自覚症状はほとんどありませんが、一部は肝臓の炎症(脂肪肝炎)から肝硬変・肝がんへ進むことがあります。健診で肝機能の異常を指摘されたら、早めの確認が大切です。

監修:院長 渡辺昌樹(日本肝臓学会 肝臓専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医)

こんな方は、一度ご相談ください

  • 健康診断で、ALT(GPT)が30を超えていた
  • AST・ALT・γ-GTPが高い、または「要再検査」と言われた
  • 人間ドックや腹部エコーで「脂肪肝」と言われた
  • 太り気味、20歳のころより体重がかなり増えた
  • 糖尿病・高血圧・脂質異常症がある
  • お酒をよく飲む
  • 肝炎ウイルス(B型・C型)の検査を受けたことがない

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、悪くなっても症状がなかなか出ません。症状が出たときには、病気が進んでいることもあります。

一つでも当てはまる方は、お気軽にご相談ください。

予約なしで受診できます

06-6302-5261

ALTが30を超えたら、受診を

  • ALT(GPT)が30 U/L を超えたら受診を

日本肝臓学会は2023年、健診などでALTが30を超えていたら、まずかかりつけ医を受診することを呼びかけています(奈良宣言2023)。かかりつけ医で血液検査や腹部エコーを行い、必要な場合は消化器内科などでくわしい検査を受けることで、肝臓の病気の早期発見・早期治療につなげることが目的です。[2]

肝機能の検査の「ものさし」

健診でよく調べる肝機能の項目と、受診をおすすめする目安です(単位:U/L)。

肝機能の検査値の目安(単位:U/L)
検査項目主に分かること基準の範囲受診をおすすめ
AST(GOT)肝臓・筋肉などの傷み30以下31以上
ALT(GPT)肝臓の傷み30以下31以上(30超)
γ-GT(γ-GTP)お酒の飲みすぎ、胆道の病気など50以下51以上

※特定健診では、AST・ALTは51以上、γ-GTは101以上を「医療機関への受診をおすすめ(受診勧奨)」の値としています。[1]このページでは肝臓の病気を早く見つけるため、日本肝臓学会の奈良宣言2023(ALTが30を超えたら受診)に合わせて、基準の範囲を超えたら一度ご相談いただくことをおすすめしています。[2]

AST・γ-GTの目安は、特定健診の「保健指導」の値です。

脂肪肝の種類

脂肪肝は、原因によって分けられます。2023年に国際的な名前が改められ、日本でも新しい名前が使われています。[4][3]

  • MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)脂肪肝に加えて、下の5つ(心代謝系の危険因子)のうち1つ以上がある状態です。以前は「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」と呼ばれていました。
    お酒の量は、純アルコールで1日あたり男性30g未満・女性20g未満です。
  • MetALD(代謝・アルコール関連脂肪性肝疾患)MASLDの条件に加えて、お酒の量がやや多い状態です(純アルコールで1日あたり男性30〜60g、女性20〜50g)。

心代謝系の危険因子(いずれか1つ以上)

  • 肥満:BMI 23以上、または腹囲が男性90cm超・女性80cm超
  • 血糖:空腹時血糖100 mg/dL以上、HbA1c 5.7%以上、または糖尿病の治療中
  • 血圧:130/85 mmHg以上、または降圧薬で治療中
  • 中性脂肪:150 mg/dL以上、または治療中
  • HDLコレステロール:男性40 mg/dL未満・女性50 mg/dL未満、または治療中

※純アルコール20gは、ビール中びん1本(500mL)、日本酒1合(180mL)がおおよその目安です。お酒をさらに多く飲む方の肝臓の病気は「アルコール関連肝疾患」と呼ばれます。

放っておくと…

脂肪肝の多くは、肝臓に脂肪がたまっているだけの状態です。しかし一部の方では、炎症が続いて肝臓が硬くなり(線維化)、次のように進むことがあります。[3]

  1. 1

    脂肪肝 肝臓に脂肪がたまった状態

  2. 2

    脂肪肝炎(MASH) 肝臓に炎症が起き、肝細胞が傷んでいる状態

  3. 3

    線維化・肝硬変 肝臓が硬くなり、働きが落ちていく状態

  4. 4

    肝がん 肝硬変に至る前に、肝がんができることもあります

肝臓の線維化の進み具合は、肝臓の病気だけでなく、心臓・血管の病気や、亡くなる危険とも関係することが分かっています。[3]

当院で行う検査

  • 血液検査肝機能(AST・ALT・γ-GTP)、血小板、肝炎ウイルス(B型・C型)、血糖・脂質などを調べ、原因を確かめます。
  • 腹部エコー肝臓の脂肪のたまり具合や、肝臓の形・硬さの変化、胆のう・すい臓などを確認します。各種検査のページへ
  • 線維化の目安年齢・AST・ALT・血小板から「FIB-4 index(フィブフォー インデックス)」を計算し、肝臓の硬さ(線維化)が進んでいないかの目安にします。

FIB-4 indexの目安

FIB-4 indexの計算式

年齢(歳)× AST(U/L)血小板数(109/L)× √ALT(U/L)

※血小板数は、検査結果の「万/μL」の値に10をかけた数です(例:20万/μL → 200)。年齢・AST・ALT・血小板の4つは、ふだんの血液検査で分かるため、特別な検査は必要ありません。

FIB-4 indexを計算してみましょう

健康診断や血液検査の結果をご覧になりながら、4つの数値を入力してください。

歳
U/L
U/L
万/μL

※入力した数値はこの画面の中だけで計算し、どこにも送信・保存されません。
※結果は目安で、診断ではありません。数値が気になる方は、健診結果をお持ちのうえご相談ください。

  • 1.30未満 低リスク 線維化が進んでいる可能性は低く、当院で経過をみます。
  • 1.30〜2.67 中リスク 線維化の可能性があるため、腹部エコー検査などで詳しく調べます。
  • 2.67以上 高リスク 線維化が進んでいる可能性が高いため、専門の医療機関でのくわしい検査をご案内します。

FIB-4 indexは年齢が上がると高めに出るため、66歳以上の方は2.0未満を低リスク、2.0〜2.67を中リスクとします。

ほかの肝臓の病気が疑われる場合も、専門の医療機関でのくわしい検査をご案内します。[3][2]

治療は、体重を減らすことが基本です

  • 肥満のある方(BMI 25以上)5% 以上 減らす
  • 肥満のない方(BMI 25未満)3〜5% 減らす

脂肪肝(MASLD)の治療で最も効果があるのは、体重を減らすことです。今の体重から少なくとも5%減らすことが勧められています(例:体重80kgの方なら4kg以上)。

肥満のない方(BMI 25未満)では、3〜5%の減量でも肝臓の脂肪が減ることが分かっています。[3]

  • 5%以上の減量で、肝臓の脂肪が減ります。
  • 7〜10%の減量で、肝臓の炎症の改善が期待できます。
  • 10%以上の減量で、肝臓の線維化(硬さ)の改善が期待できます。
  • 食事食べすぎを控えます。甘い飲み物・お菓子や、加工度の高い食品をとりすぎないようにします。
  • 運動ウォーキングなどの有酸素運動を習慣にします。体重があまり減らなくても、運動そのものに効果があります。
  • お酒飲む量を減らします。肝臓の傷みが強い方は、お酒をやめることが大切です。

糖尿病・高血圧・脂質異常症がある方は、それらの治療もあわせて行います。

初めて受診されるときの流れ

  1. 1

    問診 健診結果、お酒の量、体重の変化、持病やお薬(サプリメントを含む)について伺います。

  2. 2

    血液検査 肝機能・血小板・肝炎ウイルス・血糖・脂質などを調べます。

  3. 3

    腹部エコー 肝臓の状態を確認します。

  4. 4

    結果のご説明 原因と線維化の目安をもとに、治療や経過観察の方針を一緒に考えます。必要に応じて専門の医療機関へご紹介します。

検査の内容は、患者さんの状態によって異なります。

受診のときの持ち物

  • マイナ保険証または資格確認書
  • お薬手帳
  • 健康診断の結果
  • これまでの血液検査の結果(あれば)

健診結果をお持ちいただくと、これまでの経過が分かり、お話がスムーズです。

よくあるご質問

Q脂肪肝は治りますか?
A

体重を減らすことで、肝臓の脂肪が減り、肝機能の数値が良くなることが期待できます。肝臓は回復する力がある臓器です。
早めに生活習慣を見直すことが大切です。

Qお酒を飲まないのに、脂肪肝と言われました。
A

お酒を飲まない方の脂肪肝は、食べすぎや運動不足、肥満、糖尿病などが主な原因です(MASLD)。お酒を飲まなくても、炎症や線維化が進むことがあります。

Qやせているのに、脂肪肝になりますか?
A

やせ型の方でも、脂肪肝になることがあります。体重が標準でも、健診で肝機能の異常を指摘された方は、一度ご相談ください。

Q健診でALTが31〜50で、「経過観察」でした。受診したほうがいいですか?
A

日本肝臓学会は、ALTが30を超えていたら、かかりつけ医を受診することを呼びかけています。原因を確かめるため、一度ご相談ください。

すぐに受診が必要なサイン

次のようなときは、救急車を呼ぶか、救急対応のできる病院をすぐに受診してください

肝臓の働きが急に悪くなったり、肝硬変が進んだりしたときに、次のような症状が出ることがあります

  • 白目や皮膚が黄色くなり、強いだるさがある
  • 血を吐く、真っ黒な便が出る
  • 意識がもうろうとする、つじつまの合わないことを言う
  • お腹が急に大きく張ってきた

このような状態は、緊急の検査や治療が必要になることがあり、一般の診療所である当院では対応が困難です。当院へのご来院やお電話ではなく、ためらわずに救急車(119番)を呼んでください。

まとめ

  1. 1

    脂肪肝は大人の約4人に1人にみられ、症状がないまま肝硬変・肝がんへ進むことがあります。

  2. 2

    健診でALTが30を超えていたら、一度受診して原因を確かめましょう。

  3. 3

    治療の基本は、体重を少なくとも5%(肥満のない方は3〜5%)減らすこと。食事・運動・お酒を見直しましょう。

健康診断などで肝機能の異常や脂肪肝を指摘された方は、お気軽にご相談ください。

予約なしで受診できます

06-6302-5261

参考文献

  1. 厚生労働省 健康・生活衛生局. 標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版). 別紙5 健診検査項目の保健指導判定値及び受診勧奨判定値. 2024.
  2. 日本肝臓学会. 奈良宣言2023. https://www.jsh.or.jp/medical/nara_sengen/ippan.html
  3. 日本消化器病学会・日本肝臓学会 編. MASLD診療ガイドライン2026(改訂第3版). 南江堂; 2026.(第1章 概念・定義、BQ1-1、CQ4-1、BQ6-1、BQ6-3 ほか)
  4. Rinella ME, Lazarus JV, Ratziu V, et al. A multisociety Delphi consensus statement on new fatty liver disease nomenclature. Hepatology. 2023;78:1966-1986.
内科ページへ戻る トップページへ戻る