高血圧

高血圧

Hypertension

高血圧は自覚症状がほとんどないまま、脳卒中や心臓病の危険を高める病気です。

このページでは「血圧を下げると、なぜ良いのか」を、日本高血圧学会のガイドラインと国内外の大規模な研究のデータをもとにご説明します。

監修:院長 渡辺昌樹(日本内科学会 総合内科専門医)

こんな方は、一度ご相談ください

  • 健康診断で「血圧が高い」「要再検査」と言われた
  • 家庭で測った血圧が、くり返し135/85 mmHg以上になる
  • 親・兄弟に、高血圧や脳卒中・心臓病の人がいる
  • 体重が増えた、塩辛いものやお酒が好き、運動不足が気になる
  • 糖尿病・脂質異常症・腎臓病がある、またはタバコを吸う
  • 「症状がないから大丈夫」と、そのままにしている

高血圧には、ほとんど症状がありません。症状がないうちに確認し、早めに対策を始めることが大切です。

一つでも当てはまる方は、お気軽にご相談ください。

予約なしで受診できます

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血圧の「ものさし」

診察室で測った血圧は、次のように分類されます(単位:mmHg)。

上の血圧(収縮期)と下の血圧(拡張期)で分類が異なるときは、高い方に入ります。[1]

診察室血圧の分類(単位:mmHg)
分類上の血圧下の血圧
正常血圧120未満かつ80未満
正常高値血圧120〜129かつ80未満
高値血圧130〜139または80〜89
Ⅰ度高血圧140〜159または90〜99
Ⅱ度高血圧160〜179または100〜109
Ⅲ度高血圧180以上または110以上
  • ここからが高血圧140/90 mmHg 以上
  • 治療の目標130/80 mmHg 未満

血圧が高いほど、危険は「階段状」に増えます

日本人約7万人を約10年追跡した研究(EPOCH-JAPAN)では、脳卒中・心臓病などで亡くなる危険が、血圧の段階が上がるほど高くなっていました。[2]

脳卒中・心臓病などで亡くなる危険(正常血圧の人を「1」とした場合/単位:mmHg)

  • 正常120未満/80未満1倍1倍
  • 正常高値120〜129/80未満1.12倍1.12倍
  • 高値130〜139/80〜891.43倍1.43倍
  • Ⅰ度140〜159/90〜991.92倍1.92倍
  • Ⅱ度160〜179/100〜1092.36倍2.36倍
  • Ⅲ度180以上/110以上3.03倍3.03倍

Ⅲ度高血圧(180/110 mmHg以上)の人の危険は、正常血圧の人の約3倍でした。

また「高値血圧」の段階から、すでに危険は上がり始めています。

40〜64歳では、その差がさらに大きくなります

同じ研究を年代別にみると、働き盛りの40〜64歳では血圧による差がより大きくなっていました。[2]

40〜64歳

  • 正常1倍1倍
  • 正常高値1.49倍1.49倍
  • 高値1.91倍1.91倍
  • Ⅰ度2.71倍2.71倍
  • Ⅱ度4.77倍4.77倍
  • Ⅲ度6.83倍6.83倍

65〜89歳

  • 正常1倍1倍
  • 正常高値0.88倍0.88倍
  • 高値1.15倍1.15倍
  • Ⅰ度1.52倍1.52倍
  • Ⅱ度1.5倍1.5倍
  • Ⅲ度1.8倍1.8倍
  • 40〜64歳のⅢ度高血圧では、危険が正常血圧の約7倍でした。
  • 65歳以上でも、高血圧(Ⅰ度以上)があると約1.5〜1.8倍。年齢を重ねても、血圧の管理は大切です。

死亡の約4割に、高血圧が関係しています

脳卒中・心臓病で亡くなった人のうち、高血圧がなければ防げたと推定される割合です(高血圧=140/90 mmHg以上または降圧薬治療中)。[2]

  • 全体では41.1%約4割
  • 40〜64歳では51.3%約半分
  • 65〜89歳では29.5%約3割
  • 脳出血に限ると57.1%約6割

上の血圧を10下げると、病気はこれだけ減ります

上の血圧を10 mmHg 下げると

123の臨床試験・約61万人のデータをまとめた研究では、上の血圧(収縮期)を10 mmHg下げる(例:150→140、140→130)と、次のように病気が減りました。[3]

  • 脳卒中・心臓病 全体20%減20%減
  • 脳卒中27%減27%減
  • 心不全28%減28%減
  • 心筋梗塞など(冠動脈疾患)17%減17%減
  • すべての原因による死亡13%減13%減

わずか5下げるだけでも、効果があります

上の血圧を5 mmHg 下げると → 脳卒中・心臓病が約10%減少

48の臨床試験・約34万人の個人データをまとめた研究では、上の血圧を5 mmHg下げると、脳卒中・心臓病が約10%減りました。[4]

  • 脳卒中13%減
  • 心不全13%減
  • 心筋梗塞など8%減

この効果は、心筋梗塞や脳卒中になったことがある人にも、ない人にも、またもともとの血圧が高い人にも、それほど高くない人にも、同じように見られました。

目標をしっかり低くすると、さらに病気が減りました

ゆるやかな目標と、しっかり低い目標をくらべた大規模な試験の結果です(目標値は上の血圧・mmHg)。

SPRINT試験(米国)[5]
50歳以上・心血管リスクの高い約9,400人/1年あたりの発症率

  • 140未満を目標2.19%2.19%
  • 120未満を目標1.65%1.65%

心臓・脳の病気が約25%減

STEP試験(中国)[6]
60〜80歳の高血圧の約8,500人/約3年間の発症率

  • 130〜150を目標4.6%4.6%
  • 110〜130を目標3.5%3.5%

心臓・脳の病気が約26%減

治療の目標値

2025年のガイドラインでは、年齢や持病にかかわらず、すべての方に共通の目標として次の値が示されています。[1]

  • 診察室で測る血圧130/80 mmHg 未満
  • ご家庭で測る血圧125/75 mmHg 未満

ふらつき・立ちくらみがあるときは、すぐにご相談ください。体の状態によっては、主治医が一人ひとりに合った目標を決めることがあります。

治療の進め方(初診時の血圧に応じた管理計画)

初めて受診されたときの血圧と、ほかの病気や危険因子をもとに「脳卒中・心臓病になりやすさ(リスク)」を3段階に分け、それに合わせて治療を始める時期を決めます(血圧の単位:mmHg)。[1]

リスクの分け方

  • 第一層:下の危険因子がない
  • 第二層:65歳以上、男性、脂質異常症、喫煙のいずれかがある
  • 第三層:脳卒中・心筋梗塞などの既往、心房細動、糖尿病、蛋白尿のある慢性腎臓病のいずれかがある、または第二層の危険因子が3つ以上ある
診察室血圧と危険因子によるリスクの分け方
危険因子\血圧高値血圧130〜139/80〜89Ⅰ度140〜159/90〜99Ⅱ度160〜179/100〜109Ⅲ度180以上/110以上
第一層低リスク低リスク中等リスク高リスク
第二層中等リスク中等リスク高リスク高リスク
第三層高リスク高リスク高リスク高リスク

血圧とリスクに応じた管理計画

  • 正常血圧120/80未満適切な生活習慣を続けます。1年後に再評価
  • 正常高値血圧120〜129/80未満生活習慣の改善を始めます。3〜6か月後に再評価
  • 高値血圧・低〜中等リスク130〜139/80〜89計画的な生活習慣の改善を行います。十分に下がらなければ、改善を強めます。3か月以内に再評価
  • 高値血圧・高リスク130〜139/80〜89計画的な生活習慣の改善を行います。十分に下がらなければ、改善を強めながらお薬を始めます。1か月以内に再評価
  • 高血圧・低〜中等リスク140/90以上計画的かつ厳格な生活習慣の改善を行います。十分に下がらなければ、改善を強めながらお薬を始めます。1か月以内に再評価
  • 高血圧・高リスク140/90以上計画的かつ厳格な生活習慣の改善とあわせて、ただちにお薬を始めます。

※「計画的な生活習慣の改善」とは、目標の血圧や生活の注意点などを患者さんと一緒に決め、その計画に沿って取り組むことです。これまでに高血圧と分かっていて生活習慣の改善を指導されていた方は、初診でもお薬を始めることがあります。[1]

治療は「食事」「運動」「お薬」の3本柱で進めます。お薬を飲み始めても、食事と運動はずっと大切です。

  • 食事食塩は1日6g未満に。野菜・果物でカリウムをとり、DASH食(野菜・果物・低脂肪乳製品中心)を心がけます。
    お酒は控えめに。
  • 運動ウォーキングなどの有酸素運動に、軽い筋力トレーニングを組み合わせます。適正体重をめざし、禁煙も大切です。
  • お薬主要な降圧薬から体の状態に合うものを選び、1種類から始めます。目標に届かなければ、早めに組み合わせて調整します。

生活習慣の修正で、血圧はどれくらい下がる?

生活習慣を見直したときに、血圧が下がる目安です(臨床試験をまとめた研究の結果)。いくつかを組み合わせると、さらに下がることが期待できます。

血圧が下がる量(mmHg)上の血圧下の血圧

  • 減塩[7]食塩を1日約4.6g減らす 上 5.0上 5.0 下 2.7下 2.7
  • DASH食[8]野菜・果物・低脂肪乳製品中心の食事 上 5.9上 5.9 下 2.9下 2.9
  • 減量[9]体重を約4kg減らす 上 4.5上 4.5 下 3.2下 3.2
  • 運動[10]1回30〜60分の有酸素運動 上 4.6上 4.6 下 2.4下 2.4
  • 節酒[11]飲酒量を約76%減らす 上 3.3上 3.3 下 2.0下 2.0
  • 上の血圧を5下げるだけでも、脳卒中・心臓病は約1割減らせます(前述)。

ご家庭での血圧の測り方

家庭血圧は、治療の効果を確かめるいちばん大切な手がかりです。

ガイドラインでは、腕に巻く「上腕式」の血圧計で家庭血圧を測ることが強く勧められています。[1]

朝

  • 起きてから1時間以内
  • トイレ(排尿)をすませてから
  • 朝食の前、お薬を飲む前
  • いすに座って1〜2分休んでから

夜

  • 寝る前
  • いすに座って1〜2分休んでから
  • 入浴・飲酒・食事の直後はさける
  • 上腕式の血圧計で、カフを心臓の高さに
  • 1回に2回測って、その平均を使う
  • 測った値はすべて記録し、受診のときにお持ちください

測るときの環境

  • 静かで、寒すぎたり暑すぎたりしない部屋で
  • 背もたれのあるいすに、脚を組まずに座って
  • 測っている間は話さない
  • 測る前のタバコ・お酒・カフェイン(コーヒーなど)はさける
  • できるだけ長く続けて測る

カフを使わずに測るタイプの血圧計(カフレス血圧計)は、測定値が正確でないことがあるため、ガイドラインでは推奨されていません。[1]

初めて受診されるときの流れ

  1. 1

    問診 健診結果、生活習慣(食事・お酒・タバコ・運動)、持病やお薬について伺います。

  2. 2

    血圧の測定 診察室で血圧を測ります。

  3. 3

    必要に応じて検査 血液・尿検査、心電図、胸部X線検査(レントゲン)などを行います。検査の内容は、患者さんの状態によって異なります。

  4. 4

    家庭血圧の記録 ご家庭での血圧を記録していただき、診察室だけでは分からない普段の血圧を確認します。

  5. 5

    管理計画を立てる 結果をもとに、生活習慣の修正やお薬など、一人ひとりに合った治療を一緒に考えます。

検査について詳しくは各種検査のページをご覧ください。

受診のときの持ち物

  • マイナ保険証または資格確認書
  • お薬手帳
  • 健康診断の結果
  • 家庭血圧の記録(あれば)

健診結果をお持ちいただくと、これまでの経過が分かり、お話がスムーズです。

よくあるご質問

Q症状がないのに、治療が必要ですか?
A

高血圧は、症状がないまま脳卒中や心臓病の危険を高めます。血圧を下げることで、これらの病気を減らせることが多くの研究で分かっています。
症状がないうちから管理を始めることが大切です。

Q健診で一度だけ高かった場合も、受診したほうがいいですか?
A

血圧は緊張や体調で変わるため、一度の測定だけでは判断できません。受診していただき、診察室の血圧と家庭血圧をあわせて確認することをおすすめします。

Q一度お薬を飲み始めたら、一生やめられませんか?
A

生活習慣の修正で血圧が十分に下がれば、お薬を減らせたり、やめられたりすることもあります。ただし自己判断で中止すると、血圧が急に上がることがあります。
必ず医師にご相談ください。

Q病院で測ると、血圧が高くなってしまいます。
A

診察室だけで血圧が高くなる「白衣高血圧」と呼ばれる状態があります。家庭血圧の記録が判断の大切な手がかりになりますので、記録をお持ちください。

Q家庭用の血圧計は、どれを選べばいいですか?
A

腕に巻く「上腕式」の血圧計をおすすめします。ガイドラインでも、上腕式で家庭血圧を測ることが強く勧められています。
手首式をお使いの方は、手首を心臓の高さに合わせて測ってください。カフを使わないタイプの血圧計は、正確さが十分ではないとされています。

すぐに受診が必要なサイン

次のようなときは、救急車を呼ぶか、救急対応のできる病院をすぐに受診してください

血圧がとても高く(目安:180/120 mmHg以上)、次のような症状があるとき

  • 激しい頭痛
  • 胸の痛み・息苦しさ
  • 手足のしびれや動かしにくさ、顔のゆがみ
  • ろれつが回らない、言葉が出にくい
  • 目の見えにくさ、意識がもうろうとする

このような状態は、緊急の検査や入院が必要になることがあり、一般の診療所である当院では対応が困難です。当院へのご来院やお電話ではなく、ためらわずに救急車(119番)を呼んでください。

まとめ

  1. 1

    血圧が高いほど、脳卒中・心臓病の危険は階段状に上がります(最大 約3倍、40〜64歳では約7倍)。

  2. 2

    血圧を下げれば、その危険を減らせます(上の血圧を10下げると約2割減、5でも約1割減)。

  3. 3

    目標は診察室130/80 mmHg未満・家庭125/75 mmHg未満。毎日の家庭血圧と、お薬・減塩などの生活習慣で取り組みましょう。

生活習慣病は、いくつか重なると、心臓や脳の病気の危険がさらに高まります。以下のページもご覧ください。

健康診断などで血圧が高いと言われた方、治療中で気になることがある方は、お気軽にご相談ください。

予約なしで受診できます

06-6302-5261

参考文献

  1. 日本高血圧学会 高血圧管理・治療ガイドライン委員会 編. 高血圧管理・治療ガイドライン2025. 日本高血圧学会; 2025(制作・販売:ライフサイエンス出版).(第2章 家庭血圧測定・表2-1、表6-2、図6-1、CQ3 ほか)
  2. Satoh M, Ohkubo T, Miura K, et al; EPOCH-JAPAN Research Group. Long-term risk of cardiovascular mortality according to age group and blood pressure categories of the latest guideline. Hypertens Res. 2025;48:1428-1433. doi:10.1038/s41440-025-02151-w
  3. Ettehad D, Emdin CA, Kiran A, et al. Blood pressure lowering for prevention of cardiovascular disease and death: a systematic review and meta-analysis. Lancet. 2016;387:957-967.
  4. Blood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration. Pharmacological blood pressure lowering for primary and secondary prevention of cardiovascular disease across different levels of blood pressure: an individual participant-level data meta-analysis. Lancet. 2021;397:1625-1636.
  5. SPRINT Research Group. A randomized trial of intensive versus standard blood-pressure control. N Engl J Med. 2015;373:2103-2116.
  6. Zhang W, Zhang S, Deng Y, et al; STEP Study Group. Trial of intensive blood-pressure control in older patients with hypertension. N Engl J Med. 2021;385:1268-1279.
  7. He FJ, MacGregor GA. Effect of modest salt reduction on blood pressure: a meta-analysis of randomized trials. Implications for public health. J Hum Hypertens. 2002;16:761-770.
  8. Sacks FM, Svetkey LP, Vollmer WM, et al; DASH-Sodium Collaborative Research Group. Effects on blood pressure of reduced dietary sodium and the Dietary Approaches to Stop Hypertension (DASH) diet. N Engl J Med. 2001;344:3-10.
  9. Siebenhofer A, Jeitler K, Berghold A, et al. Long-term effects of weight-reducing diets in hypertensive patients. Cochrane Database Syst Rev. 2011;(9):CD008274.
  10. Dickinson HO, Mason JM, Nicolson DJ, et al. Lifestyle interventions to reduce raised blood pressure: a systematic review of randomized controlled trials. J Hypertens. 2006;24:215-233.
  11. Xin X, He J, Frontini MG, et al. Effects of alcohol reduction on blood pressure: a meta-analysis of randomized controlled trials. Hypertension. 2001;38:1112-1117.
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