高尿酸血症・痛風
Hyperuricemia & Gout「健診で尿酸値が高いと言われた」「足の親指の付け根が、急に腫れて痛くなった」。血液中の尿酸が多い状態を高尿酸血症といい、痛風の原因になります。[1]
高尿酸血症は、腎臓の病気や尿路結石とも関係しています。[1]症状がないうちから、生活習慣を見直すことが大切です。
監修:院長 渡辺昌樹(日本内科学会 総合内科専門医)
- 痛風の発作中も
予約なしで受診できます - 高血圧・糖尿病などと
あわせて診療します - お酒や食事の見直しを
ご一緒に考えます
こんな方はご相談ください
- 健診で「尿酸値が高い」と言われた
- 足の親指の付け根などが、急に赤く腫れて痛くなった
- 痛風の発作を、くり返している
- ビールなどのお酒をよく飲む
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症や、肥満がある
- 尿路結石になったことがある
高尿酸血症とは
尿酸は、体の中でプリン体という物質が分解されてできる老廃物で、主に尿から体の外に出ていきます。尿酸がつくられすぎたり、うまく出ていかなかったりすると、血液中の尿酸が増えます。[1]
女性では、尿酸値が7.0 mg/dL以下でも、尿酸値が高いほど生活習慣病になりやすいことがわかっています。[1]
尿酸値が高いままだと起こること
高尿酸血症が長く続くと、次のような病気が起こりやすくなります。[1]
- 痛風関節にたまった尿酸の結晶で、急に強い痛みと腫れが起こります。
- 腎臓の病気尿酸値が高いと、慢性腎臓病が起こりやすく、進みやすくなります。
- 尿路結石腎臓や尿の通り道に石ができ、激しい痛みの原因になります。
- ほかの生活習慣病高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームなどと関係しています。
痛風とは
痛風は、関節にたまった尿酸の結晶がはがれ落ちて、激しい炎症を起こす病気です。[1]高尿酸血症の方のすべてに、痛風が起こるわけではありません。[1]
痛風が起こるまで
- 高尿酸血症尿酸値が高い状態が続く
- 結晶がたまる関節の中に尿酸の結晶ができる
- 痛風の発作関節が急に腫れて強く痛む
- くり返す発作がふえ、痛風結節ができる
痛風の発作の特徴
- 中年の男性に多い
- 足の親指の付け根など、主に足の関節の1か所が、赤く腫れて痛む
- 痛みは24時間以内に最も強くなる
- 10日ほどで自然によくなり、しばらく症状のない時期がある
発作は自然に治まりますが、治療をしないと発作が増え、関節の痛みが続くようになります。[1]尿酸の結晶のかたまり(痛風結節)が、皮膚の下にこぶのようにできることもあります。[1]
発作が起きているときは、尿酸値がふだんより低く出ることもあるため、これまでの健診の尿酸値も、診断の大切な手がかりです。[1]
発作のきっかけになりやすいこと
食べすぎ・飲みすぎ、体の水分不足、ストレス、長い距離を歩くなど関節に負担がかかることが、発作のきっかけになるといわれています。[1]尿酸値を下げるお薬を飲み始めたあとの数か月も、発作が起こりやすくなります。[1]
治療の進め方
治療は、痛風の発作や痛風結節があるかどうかと、尿酸値によって決まります。[1][2]どの場合も、生活習慣の見直しが治療の基本です。[1]
*「ほかの病気」とは、腎臓の病気、尿路結石、高血圧、狭心症・心筋梗塞、糖尿病、メタボリックシンドロームなどです。[1]
症状のない高尿酸血症にお薬を使うかどうかは、慎重に決めることが大切です。[1]お薬のよい点と注意点をご説明し、納得していただいたうえで始めます。
腎臓の働きが悪い方や、尿路結石をくり返す方は、専門の医療機関をご紹介します。
痛風の発作の治療
発作の痛みと炎症を抑えるお薬を、できるだけ早く飲み始めます。[1]症状がよくなったら、お薬はやめます。[1]
- 炎症を抑えるお薬痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬)、コルヒチン、ステロイドの中から、持病や飲んでいるお薬に合わせて選びます。
- 安静にして冷やす痛む関節を高くして負担をかけないようにし、冷やすと痛みが和らぎます。
- お酒はやめる発作が続いている間は、お酒を飲まないでください。
尿酸値を下げるお薬
尿酸値を下げるお薬には、尿酸がつくられるのを抑えるお薬と、尿酸を尿に出しやすくするお薬があります。[1]体の状態や、尿路結石があるかどうかなどで選びます。[1]
- 発作が完全に治まってから、飲み始めます
- 少ない量から始めて、1〜2か月ごとに少しずつ増やします
- 飲み始めて数か月は、発作が起こりやすくなることがあります
- お薬を飲んでいる間に発作が起きても、お薬は続けます
お薬を始めたばかりのころは、尿酸値が下がるときに関節の結晶がはがれ落ちて、発作が起こることがあります。[1]発作を防ぐために、少量のコルヒチンを一緒に飲むこともあります。[1]
約5年間、尿酸値を6.0 mg/dL未満に保っていた痛風の方が、お薬をやめると、3年以内に約40%の方で発作が再発したと報告されています。[1]
尿酸値を下げるお薬は、自己判断でやめないでください。
3年以内に再発約40%
生活の見直し
お薬を使うかどうかにかかわらず、生活の見直しが大切です。[1]食事、お酒、運動の3つが基本になります。[1]
- 体重を減らす肥満を解消すると、尿酸値が下がることが期待できます。
- お酒を控えるお酒の量が多いほど、痛風になりやすくなります。
- プリン体をとりすぎないプリン体は、1日400 mgくらいまでが目安です。
- 甘い飲み物を控える果糖を多く含む甘い飲み物や果物ジュースは、控えましょう。
- 水分をしっかりとる尿の量を1日2,000 mL以上に保つことが目標です。腎臓の病気がある方は、医師にご相談ください。
- 軽い運動を続ける歩くなどの軽い運動を、1日30分以上を目安に続けます。
お酒と痛風
ビール(アルコール5%)に置きかえると、おおよそ次のとおりです。
- 少量:1.2倍1日にビール350 mL缶 1本弱まで
- 中くらい:1.6倍1日にビール500 mL缶 1本前後
- 多い:2.6倍1日にビール500 mL缶 2本ほど以上
お酒の中では、ビールが最も痛風になりやすくするといわれています。[1]尿酸値への影響を少なくする1日の量の目安は、次のとおりです。[1]
- 1日のお酒の目安(どれか1つ)
- 日本酒 1合
- ビール 350〜500 mL
- ウイスキー 60 mL
プリン体の多い食品・少ない食品
| プリン体(100 gあたり) | 主な食品 |
|---|---|
| 極めて多い(300 mg以上) | 鶏レバー、マイワシの干物、白子(イサキ・ふぐ・たら)、あんこうの肝(酒蒸し)、太刀魚、健康食品(ビール酵母、クロレラなど) |
| 多い(200〜300 mg) | 豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、オキアミ、干物(マアジ・サンマ) |
| 中くらい(100〜200 mg) | 肉(豚・牛・鶏)の多くの部位、魚類、ほうれんそう(芽)、ブロッコリースプラウト |
| 少ない(50〜100 mg) | 肉や魚の一部、加工肉、ほうれんそう(葉)、カリフラワー |
| 極めて少ない(50 mg以下) | 野菜全般、米などの穀類、卵、乳製品、豆類、きのこ類、豆腐、加工食品 |
プリン体は水に溶けやすいため、プリン体の多い食品でも、煮汁を飲まなければ、とる量を減らせます。[1]
受診の流れ
- 1
受付・問診票の記入 症状、これまでの痛風の発作、持病やお薬、お酒の量などをご記入ください。
- 2
診察 痛む関節の腫れや赤みなどを確かめます。
- 3
検査 血液検査や尿検査で、尿酸値や腎臓の働きなどを調べます。
- 4
治療方針のご相談 検査の結果をもとに、生活の見直しやお薬についてご説明します。
- 5
定期的な通院 基本は月1回の通院で、尿酸値やお薬の効き方を確かめます。
受診のときの持ち物
- マイナ保険証または資格確認書
- お薬手帳
- 健診の結果(これまでの尿酸値がわかるもの)
- これまでの血液検査の結果
よくあるご質問
Q痛風の発作が起きています。予約なしで受診できますか?
はい、予約なしで受診できます。痛風の発作は、できるだけ早く治療を始めることが大切です。
痛みが強いときは、無理に動かさずにお越しください。
Q尿酸値が高いと言われましたが、症状はありません。お薬は必要ですか?
まずは、お酒・食事・体重など、生活習慣の見直しが基本です。
尿酸値が8.0 mg/dL以上で腎臓の病気や高血圧などの病気がある場合や、9.0 mg/dL以上の場合は、お薬を考えます。お薬を使うかどうかは、よい点と注意点をご説明したうえで、ご相談して決めます。
Q発作が治まったら、お薬をやめてもいいですか?
発作の痛みを抑えるお薬は、症状がよくなったらやめます。
尿酸値を下げるお薬は、自己判断でやめないでください。やめると、発作がまた起こりやすくなります。
Qビールでなければ、お酒を飲んでもいいですか?
ビールはプリン体が多く、お酒の中で最も痛風になりやすくするといわれています。
ただし、お酒そのものにも尿酸値を上げる作用があります。お酒の種類にかかわらず、飲む量を控えましょう。
Q女性も高尿酸血症になりますか?
はい。尿酸値が7.0 mg/dLを超えると、男女とも高尿酸血症です。
女性は男性より尿酸値が低いため、尿酸値が高い場合は、原因となるほかの病気がないかも調べます。
すぐに受診が必要なサイン
次のようなときは、救急車(119番)を呼ぶか、救急対応のできる病院をすぐに受診してください
- わき腹や背中の激しい痛みに、高い熱やふるえを伴う
- 尿がほとんど出ない
- 関節の腫れと痛みに加えて、高い熱があり、ぐったりしている
- 胸の痛みや、息苦しさがある
一般の診療所である当院では対応が困難です。当院へのご来院やお電話ではなく、ためらわずに救急車を呼んでください。
まとめ
- 尿酸値が7.0 mg/dLを超えると、高尿酸血症です
- 高尿酸血症は、痛風・腎臓の病気・尿路結石の原因になります
- 治療の基本は、お酒・食事・体重などの生活の見直しです
- 痛風の方は、尿酸値を6.0 mg/dL以下に保つことを目指します
- 尿酸値を下げるお薬は、自己判断でやめないでください
生活習慣病は、いくつか重なると、心臓や脳の病気の危険がさらに高まります。以下のページもご覧ください。
参考文献
- 日本痛風・核酸代謝学会 ガイドライン改訂委員会(編). 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版. 診断と治療社. 2019.
- 日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改訂委員会(編). 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版[2022年追補版]. 診断と治療社. 2022.
